目次
リード
エース髙橋宏斗が6回8安打4失点で10敗目。広島戦での連勝は途切れ、チームは2試合連続の完封負け。CS争いから大きく後退し、内容面でも課題が噴出した。現地のスタンドでは9回に「気合いを入れろ」コール、試合後もブーイングが鳴り止まず――重たい空気のまま、甲子園決戦へ向かう。

スタメン(中日)
1 中・岡林/2 二・田中/3 右・上林/4 左・細川/5 三・福永/6 一・ボスラー/7 遊・山本/8 捕・加藤/9 投・髙橋宏
試合経過ハイライト
- 1回~2回(D 0-0 C)
髙橋は落ち着いた立ち上がり。1回は併殺で切り抜け、2回は三者凡退。 - 3回裏(D 0-2 C)
先頭・秋山の二塁打、佐々木の中前で無死一三塁。犠打で一死二三塁から中村奨に右前2点打。 - 5回裏(D 0-4 C)
二死から四球を与えた直後、ファビアンに左翼へ16号2ラン。痛恨。 - 7回裏(D 0-5 C)
2番手・藤嶋が小園にタイムリー被弾でダメ押し。 - 中日打線
6回まで先発・常廣を攻略できず。田中が猛打賞と気を吐くも、要所であと1本が出ず7安打無得点。8回二死一三塁も細川が右飛。
投手レビュー:髙橋宏斗(6回96球 8被安 3奪三振 1四死球 4失点)
- 立ち上がりはテンポ良好。転機は3回の先頭出塁から。以降、慎重さを欠き要所で甘さ。
- 5回二死からの四球→被弾という最悪パターン。制球=悪くないが球質が“刺さらない”時間帯が長く、被弾増は今季の象徴。
- 今季の広島戦4勝0敗から一転の初黒星。シーズン通して波が大きく、“エース像”を示し切れず。
- 「一軍で投げながら整える」路線は結局、球質の上振れを生めず。昨季の“2軍で作り直し→再浮上”モデルの再検討余地。

バッテリー&配球の論点
- 3回の先頭出塁以降、ストライク先行→甘さの連鎖。二死からの四球で流れを渡し、カウント不利から変化球を拾われる展開。
- **「二死からの四球」→「甘い変化球」→「長打・被弾」**の失点様式を断ち切れず。配球設計の再点検が必要。
打線レビュー:チャンスを作るが、決め切れず
- 田中が3安打で牽引。6回は暴投で三進&四球で二死一三塁を作るも、あと一本が出ず。
- 最近の傾向通り、8~9月でピークアウト。涼しさと共に打線も冷え、23度目の零封は重い。
- 上位の走力活用(岡林の積極走塁)は継続したいが、“走って点に”の再現性が不足。
采配・チーム運用:シーズン設計の歪み
- 中継ぎのオーバーワーク、先発の台所事情、“ローテ死守>調整”優先が球質低下を固定化。
- 藤浪戦の“左並べ”試合など、短期の安全策が長期の勢い喪失に。
- ヘッドコーチ不在のマネジメント体制、若手起用の一貫性不足(途中結果を出しても即ベンチ・抹消の例)も士気面でマイナス。
現地メモ(ビジター最終戦)
- 9回開始時の「気合いを入れろ」コール、チャンテ・メドレーも実らず零封。
- 挨拶や中田への花束でもブーイング止まず。
- 救いは幹也(田中)の猛打賞と、ボスラーの最終二塁打。

今日のターニングポイント3つ
- 3回先頭二塁打からの失点(先制を許して主導権を喪失)
- 5回二死からの四球→16号2ラン(勝負所のミスが失点直結)
- 8回二死一三塁の逸機(流れを引き寄せられず)
データボックス
- 零封負け:今季23度目(セ最多・球団最多ペース)
- 対広島:11勝13敗1分(2021年以来の負け越し)
- 直近:3連敗、9月は3勝8敗ペース
- 髙橋宏:今季6勝10敗(うち広島戦4勝→本日初黒星)
- 打線:7安打無得点、決定打欠如
ファンボイス(要約)
- 髙橋宏:「球質が戻らない。エース返上」「オフで作り直しを」
- 運用:「2軍で整える決断を」「ローテ死守が逆効果」
- 采配:「短期の安全策が流れ断絶」「ヘッドコーチ配置を」
- チーム方針:「中継ぎ酷使・先発不足」「若手起用に一貫性を」
- クラブ体制:「補強と編成の設計ミス」「親会社&フロントの無策」
- 前向き要素:「田中の成長・ボスラーの意地」「来季へ若手に打席を」
「今の髙橋は“去年調子の良かった先発投手”。エースではない。二死からの四球と被弾をまず断つべき」
「藤浪戦で勝ちにいかなかったのがターニングポイント。勢いを自ら手放した」
「ヘッドコーチ不在は構造的問題。現場の意思決定を立て直してほしい」
提言:オフ~来季へ(球団/現場/個人)
球団・編成
- 先発の枚数&質を最優先補強。中継ぎ依存の度合いを下げる。
- ヘッドコーチ設置で意思決定ラインを明確化。
- コンディショニング再設計(夏場・屋内環境対策/ドームの蒸し暑さ対応を前提に)。
現場・運用
- 「二軍で作る勇気」を復活。ローテ死守より球質の再現性。
- 若手起用は評価指標を明文化し、短期結果→即冷遇を避ける。
- 打線は**“走って点”の徹底**。アウトでも走る文化を再構築。
髙橋宏(個人)
- 課題は明確:
- 二死からの四球の撲滅(配球テンプレの崩し)
- 高め直球の質と落ち球の見せ方(球質×球数管理)
- 被弾抑制のゲームプラン(カウント有利時の“置きに行かない”)
- オフは指導者帯同の再構築で、フォームと球質の**“長持ち化”**をテーマに。
次戦展望
明日から甲子園で阪神戦。球場移動で気分転換は可能。まずは先取点と走塁の圧で流れを奪い返したい。
まとめ
- 内容面の課題が結果に直結。二死からの四球→被弾、好機での一本不足、そして運用の迷い。
- ただし、田中の成長とボスラーの意地など、積み上げの芽はある。
- 残り試合は来季を見据えた選手起用と再設計の場に。**“勝ち癖の再学習”**を始めたい。
